研究領域紹介

安武研究室(機能材料領域)

教授 安武 潔
准教授 垣内 弘章
助教 大参 宏昌
技術専門職員 竹内 昭博

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「未来技術の鍵をにぎる新機能材料」

科学技術の進歩には、その中枢を担う機能材料の高性能化、さらには全く新しい機能をもった材料の創出が必須です。また、それを応用した製品の実現には、高能率であるとともに、人や環境にやさしい製造プロセスの開発が要請されています。私たちの研究室では、1) 高性能な機能材料を作製する新しい環境調和型成膜技術を開発すること、2) 原子・電子レベルで制御された新機能材料を創成すること、3) 最先端科学技術分野に不可欠な高機能薄膜を開発してデバイスに応用すること、を目的として研究を進めています。現在、大気圧・超高周波プラズマの物理的・化学的特性を活用した低温・高速・高品質・エコクリーン成膜技術の開発と、高性能太陽電池、薄膜トランジスタ、高感度センサ等、新機能デバイスへの応用技術の研究を行っています。

低温・高速で高品質を実現する大気圧プラズマCVD法の開発

大気圧プラズマは、ラジカル密度が高く、イオンエネルギーが小さいという特性をもつ新しいプラズマです。本研究ではこれを活用し、低温・高速で、しかも高品質な半導体薄膜の形成法を開発しています。図1は、従来法と比べて500℃以上低い温度で高速形成した無欠陥・高純度の単結晶シリコン薄膜の写真と、用いた大気圧プラズマ発光の様子を示します。



<図1>

フレキシブル電子デバイス用薄膜の低温・高速形成プロセス

近未来のエレクトロニクス産業として期待されるフィルムエレクトロニクスの実現のため、常温に近い温度で高機能な薄膜を高速形成する技術の開発を行っています。図2は、シリコンの低温・高速成膜の一例です。このように、100℃という低温でも結晶性のシリコン(微結晶シリコン)薄膜を高速形成できるため、耐熱性の低いプラスチックフィルムを基板として用いることができます。フレキシブルディスプレイやフィルム型センサ等への応用を目指しています。


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<図2>

大気圧プラズマ化学輸送プロセスの開発

大気圧プラズマ化学輸送法とは、一切の原料ガス(例えばSiH4、B2H6、GeH4、CF4など)を用いず、安全で扱いやすい固体原料を利用して、成膜・エッチングを可能にする大気圧プラズマ技術です。本技術を利用して多結晶Si、SiGe、SiCなど、薄膜太陽電池への応用が期待される機能材料薄膜の高効率形成、さらには地球温暖化ガスを用いないエッチング法の確立を目指した研究を行っています。図3は、本手法で形成した選択成長Si膜(a)(b)、さらにはカーボンナノファイバー(c)を電子顕微鏡により観察したものです。



<図3>

ミスト混合大気圧プラズマのバイオ・アグリプロセス応用

「大気圧」と「プラズマ」:それぞれが持つ特性を利用して、医療、食品、農産業で必要とされる表面処理技術の開発を行っています。図4は、開発している常温滅菌の一例を示しており、液体原料(水)をミスト状(微小液滴)にしてプラズマ中へ供給し、プラズマ中で生成される反応性分子を、生菌に照射した際に、菌(枯草菌)の形態が変化していく様子を示しています。


<図4>

Geナノ構造

薄膜が成長する様式は、基板表面の状態に依存するため、基板表面を改質・制御することで、優れた特性をもつ薄膜材料を形成することが可能になります。図5は、ガラス基板表面にシリコン結晶成長の核となるゲルマニウムナノ結晶を作製した例を示しています。ゲルマニウム結晶の直径と密度の制御には、新開発した酸素エッチングプロセスを用いています。

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〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2-1
大阪大学 大学院工学研究科
精密科学・応用物理学専攻
精密科学コース

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