精 密 科 学
みなさんの周りでも、パーソナルコンピュータ、マルチメディア機器、衛星放送テレビ、CD・MDプレーヤ、液晶ディスプレィ、太陽電池、携帯電話など、先端技術を駆使した製品が次々と現れています。このようなハイテク製品を創り出す鍵となる基盤技術を支えているのが、精密科学です。例えば、コンピュータの心臓部である超LSIは、シリコン表面を平坦に磨き上げる超精密加工技術、および薄膜作製と微細回路パターン形成技術(リソグラフィ)によって作られていますが、精密科学コースでの研究は、ここでも役立っています。
現在の研究では、原子の大きさの凹凸しかない平坦な面を創成したり、さらには、原子をあたかも指先で摘むように操作して、原子の鎖からなるいろいろなミクロ構造を形成することも夢ではなくなっています。また、原子層ごとの半導体薄膜の成長や新しい原理の顕微鏡を用いた原子の観察、スーパーコンピュータを利用した原子の結合の仕方のシミュレーションなども行っています。精密科学コースで開発された先端技術は、世界一平坦な面を作ることを可能とし、次世代の超LSIや純国産H-IIロケットの姿勢制御技術、播磨科学公園都市に建設中の大型放射光利用施設「SPring-8」用の超高性能ミラー、ウラン濃縮用レーザビーム整形ミラーの作製に利用されるという成果をあげています。これらの技術は、産業界はもちろんNASAや高エネルギー物理学研究所においても取り上げられ、未来技術として研究が進められています。
その結果、平成8年度から文部省予算によって、この分野における国際的な研究拠点(センター・オブ・エクセレンス、COE)が、精密科学コースに形成されます。このような夢の最先端技術の開発には、まず技術に利用される物理現象を自然科学に基づいて理解することが重要です。そのため、専門基礎教育科目では、自然科学、特に物理学・数学を中心とし、専門科目では、固体物性、表面物性、物理化学加工、機器設計学、物理計測、システム制御、量子力学、計算物理など、基礎的なものから応用的な科目まで、幅広くかつ学びやすい履修体系を構成しています。また3年生後期からは5〜6人単位で研究室に配属され、世界最先端のテーマに携わることにより、教官、大学院生、外国人留学生とも対等な研究者として卒業研究を行います。このような研究を通じて、学問と人間形成の両面で成長すると共に、世界的な舞台で活躍できるよう、指導的、創造的な人材の育成に重点を置いた教育を行っています。
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Last revised on Jul. 1, 2001 by M. Nakano